投稿日:2012年02月12日
最終更新日:2012年08月10日
TeamDFMインタビュー「Irohaさん」
今や、デリー・グルガオン地区の在留邦人で知らない人はいないケーキ屋さん
「Iroha」のパティシエ、谷古宇さんにお話をうかがいました。
Irohaさんのインド出店の経緯を教えてください。
谷古宇さん(以下、敬称略):
Irohaの社長が、シュークリームをインドに紹介しようと、インド人をメインターゲットに据えた出店計画をたてていたんですが、調べていくうちに、インドには日本スタイルのスイーツがないということがわかり、「インドに住む日本人に、癒しの場所を提供しよう」という方向で考え始めました。
会社の名前は「NAGOMI」というんですが、これは、日本人のお客様に、Irohaに来てなごんでいただきたい、という願いを込めてつけられた名前です。最初はシュークリームからはじめ、少しずつ商品を増やしていきました。
これが、そのシュークリームですね。
谷古宇:
今では、プリンやクレープ、フィナンシェ、チョコレートケーキ、フルーツ
ショートケーキなど、ラインナップを増やしてご好評をいただいています。
お客さんは日本人が多いですか?
谷古宇:
ほとんど日本人ですが、少数ながらインド人のお客様もいらっしゃいますよ。
インド人のお客様に人気なのは、
クレープや、プロフィットロール(小さなシュークリーム)ですね。
手や口を汚さず食べられますし、みんなでわけあって食べられるからでしょうか。
卵抜きの商品はないんですが(実行委員会注:このインタビューのあと、2012年
バレンタイン企画で、Irohaさん初のベジ商品「生チョコ」が 出ました)、
リピーターになってくださる方が多いです。
谷古宇さんは、ケーキのお仕事をはじめて、どのくらいになるのですか?
谷古宇:
大学時代のアルバイトを含めると、10年になります。
前職もパティシエでしたが、そこのケーキショップには4年いました。
Irohaさんに、谷古宇さんがパティシエとして加わったきっかけは何ですか?
谷古宇:
「3ヶ月くらい、インド人に教えてくれ」ということで、お話をいただいたんです。
えっ、最初は3ヶ月だけの予定だったんですか?
谷古宇:
実は、そうだったんです(笑)もうずいぶん長くいますが。
……いなくなりませんよね?
谷古宇:
いなくなりません。(笑)
パティシエがおひとりだけで、すごくお忙しいと小耳にはさみましたが。
谷古宇:
うーん、夜遅くまでやって、夜明け前から仕込みですから、確かに忙しいですね。
でも大丈夫ですよ。ちゃんと眠れていますから。
でも、そのスケジュールだと、おうちに戻るだけで睡眠時間つかい切っちゃいませんか?
谷古宇:
ええ、部屋に戻る時間まではなかなか取れません。
ですから、お店の床に新聞紙を敷いて寝ることが多いですね。
え(゜д゜)?
谷古宇:
あっ、でも、最近は、秘密兵器を導入したんですよ。
空気を入れてふくらます、薄いベッドみたいな…。
それを、厨房の床に敷いて寝るので、あったかです。
ええーっ!
谷古宇:
?(・ v ・)?
いや、きょとんとしないでください(笑)
た、大変ですね。
谷古宇:
えっ?
いや、パティシエですから。
日本でパティシエの仕事をしているときもそうでしたし、
特に大変だとは思いません。
それに、ここは私にとって、第二の家みたいなものですし。
第二の家?
谷古宇:
お客様にご来店いただいて、なごんでいただけるような空間…
というのはもちろんですけど、
「自分が働いていてなごめる空間」にもしたくって、
このお店のデザインは、自分でやったんです。
木の質とか色とかも選んで。出来上がったときは感動しました。
確かに、木の色がやさしくて、店内に圧迫感がなくて、居心地がいいですよね。
谷古宇:
ええ、居心地最高です。
職場のみんなも、楽しい子たちばっかりなんですよ。
左から3番目:谷古宇さん。右端:柿崎さん。インド人スタッフのみなさんとともに。
谷古宇:
実は、お客様をお迎えするスペースで流れている音楽と、
厨房で流れている音楽は違っていて、
厨房では、インド音楽が流れてくることがあります。
そうすると、全員が歌って踊ります。
歌って踊るんですか!
それを、パティシエの谷古宇さんはどのような気持ちで眺めているのですか?
谷古宇:
いえ、眺めません。パティシエも歌って踊ります。
おお、それは予想外でした。
谷古宇:
そうですか?だって私、毎日、インドのまかない飯も食べてますよ。これです。
ダール・チャーワル(豆のカレーとご飯のセット)ですね!毎日これですか?
谷古宇:
毎日これです。でも、つくってくれる人によって味が違うので、毎日楽しみにしています。
ちなみに、チャーイは1日最低3回です。(笑)
ケーキ屋さんの舞台裏には、インドな空間が広がっていたんですね~。
谷古宇:
不思議な空間です。
インド人の厨房スタッフは、今では私よりも上手くクレープを焼けるようになりました。
スタッフへの指示は日本語で出しちゃったりするんですが、なぜか通じてしまいます。
日本語も少しずつ覚えてくれています。「ソレチョットチガウ」とか。
インドゆえの苦労話もあるのではないでしょうか?
谷古宇:
ええ、まず、材料調達のすべてにおいて苦労しています。
生クリームは、7~8種類は試したんですけどどれもだめだったので、
今はヨーロッパのほうから入れています。
それも、急にストップしたりすることがあるし、油断なりません。
小麦粉は、インドのものと日本のものを使い分けていますが、
スポンジケーキには今のところ日本の小麦粉を使っています。
水も、常に出るわけではないし、電気も安定しないし。
つねに臨機応変に、考えて行動することが大事だなっと思っています。
フリマにメッセージをお寄せください。
谷古宇:
その日は、Irohaスタッフ総出でフリマにのぞみます!
ちょっと立ち止まって召し上がっていただけるようなスペースも準備しようと思います。
楽しみにしています。
◆
《Irohaさんお店データ》
お店webサイト
住所
Vyapar Kendra, Sushant Lok Phase-I, Gurgaon-122002 India
(メトロ駅HudaCityCentre が最寄り)
電話
91-124-4147401